やさしいちちと
やさしいははとのあいだにうまれた
おまえたちは
やさしい子だから
おまえたちは
不幸な生をあゆむのだろう
池井昌樹 絵本『手から、手へ』より抜粋
3月末、ブログに「人生にYES!」を書きながら
なんとなくすっきりしない私に
1冊の本が届きました。
昭和の家族写真のようでいて
どこか、「あの世」的な「永遠」を思わせる
植田正治さんの写真とともに構成された
『手から、手へ』池井昌樹さんの詩集です。
どんなにやさしいちちははも
おまえたちとは一緒に行けない
どこかへ
やがてはかえるのだから
人によっては、やさしさだけではなく
むしろ、物心つかないうちから、
たとえ、それが愛にくるまれていたとしても
「NO」ばかり、言われて育つこともあります。
そういう場合、私たちは、
自分が傷つかないよう、無意識に
見かけ上の「YES」を言って、
辻褄を合わせたりもするのです。
おとなになっても、
外側からの「YES」が、ほしくてたまらない。
人の顔色が気になる。
人から評価されたい。
でも本当に必要なのは
内側から満ちてくる「YES」なのでしょう。
汲めども尽きぬ泉のように
たとえ、やさしさだけを手渡されたとしても
内なるYESをつぶやくことは
まことにむずかしい。
でも、この詩が語る言葉のように
怯んではならぬ
憎んではならぬ
悔いてはならぬ
やさしさは「ちまみれのばとん」
どんな苛酷と思える人生にも
「YES」が言える。
それを支える一筋の光
それを人は私の中の「わたし」というのではないかしら。